« えんちゃんと。 | トップページ | 青い塔 »

2007/11/11

大正生まれのアキコさん

私はアイスクリームなんて特に好きコノンデ食べません。しかし、ハーゲンダッツだけは好きなの。
一年に10個くらい食べるかなハーゲンダッツ。

そしてハーゲンダッツで思い出すエピソードがある。
時は平成7年、震災の年。大正生まれのアキコさんは胃の手術をしました。何より「食べる」事ができなくなって生きる意欲を失いつつありました。
しかし、アキコさんは、そんな時にある「生き甲斐」を見つけました。

それは大学病院の自分の担当チームのお目当てのドクターたちに会うこと、話すこと。
毎日二度誰かが交代で回診にきてくれます。
そして、それは嬉しそうでした。

十分な治療は受けられないし、震災のため自宅からもかなり離れた場所にある病院でした、しかしプライドの高い彼女にとっては、大学病院の医局長が自分の担当チームにいて、胃腸外科の権威と言われる教授直々にオペしてもらえることがシアワセそうでした。
本心はどうであれ、お見舞いのお客さんや電話で自慢気でしたから。


そしてアキコさんはわがままでした。
毎日わたしか義姉が看病についていないと不満です。
食事が不味いから家から作ったものを持ってこいって言いますし、ジュースは果物をその場で絞ったものじゃないと気分が悪くなりもどします。

ある日、アキコさんは私に言いました。
「上等のアイスクリームが今すぐ食べたくなった、外に買いに行ってきて!今すぐ!
病院の売店のはダメよ、安物だから。ハーゲンダッツがいいわ」

私は走って買いに行きましたよ。
しかし大学病院の敷地は広い、病棟から正面玄関へ周り表通りに出て、ハーゲンダッツを買うためには最寄り駅の構内へ行かなくちゃなりません。
私はもともと歩くスピードは早い、決してモタモタしているほうではない。

でもアキコさんのワガママは半端じゃなく、怒り出すことも度々あったから急いだよ。

はぁはぁ息切らしてハーゲンダッツをぶら下げて病室へ戻ったら時計を見ながらアキコさんたら
「遅いわね、もう食べたくなくなったわ」
憎たらしいこと言うのよ。普通の良い嫁なら「ごめんなさい。」って謝るでしょうが、この私がそんな殊勝な訳ないじゃん。
病人相手に
「はぁ~っ!せっかく買ってきたんだから、無理して食べてくださいっ」
って無理やりスプーンとともに押し付けた。
アキコさんは渋々一口だけ口にし、あとを私に押し付けた。
「やっぱり、気分が悪くなった、あなたが食べなさい」
そして布団をかぶってしまった。
別に食べたかないのにと思いながら仕方なく食べることにしたんです、ハーゲンダッツ。
すると、部屋をノックする音が。
「アキコさん、どうですか~!」っと、病棟の担当ドクターチームの先生方がお見えになりました。
そして、その先生のお一人がハーゲンダッツを食べている私を見て、
「あっ、病気のせいで何も食べられないオカアサンを目の前にして、アイスクリームなんて食べちゃって!それもハーゲンダッツですか!」
「実は、わたしハーゲンダッツしか食べないんです~ってタイプでしょう!」
「もしかして、アキコさんが買ってあげたんでしょ、いいオカアサンですよね
?!これはもしかして、作戦かっ?!
ベットに入ったアキコさんをみると、布団を深くかぶり、
「そうなんですよ~この嫁はね、胃を切って何にも食べられない私なんてお構いなしなんですよ,って寂しそうな目で同情ひこうとしている!
ひえ~っ、私とした事が、してやられたり。
完敗!って思いましたわ。

« えんちゃんと。 | トップページ | 青い塔 »

マサオさんとアキコさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/206078/17039555

この記事へのトラックバック一覧です: 大正生まれのアキコさん:

« えんちゃんと。 | トップページ | 青い塔 »